第4話「インデックスファンドの積立はわかりやすく続けやすい、合理的な投資のやり方」

将来に備えて資産形成をしたいけれど、何をどうすればいいかわからず、悩んでいる人もいらっしゃるでしょう。そこで、シンプルでわかりやすい金融商品として注目を集めるインデックスファンドについて、日本で唯一のインデックス投資アドバイザー(カン・チュンド氏HPから抜粋)であるカン・チュンドさんに、その魅力と活用方法を伺いました。

晋陽FPオフィス代表、CFP®(ファイナンシャル・プランナー)
カン・チュンド氏

日本で唯一のインデックス投資アドバイザー(カン・チュンド氏HPから抜粋)。1998年にアメリカのファイナンシャル・プランナーの「資産配分を行おう。インデックス投資を実践しよう」というシンプルな考え方に出会い、感銘を受ける。自身もインデックスファンドやETFを用いて「市場の平均値」に投資を行い、長期保有する戦略を実践。

「日本のビジネスパーソンに、シンプルで継続しやすい資産運用を啓蒙すること」をミッションとして掲げる。笑いを取り入れたエネルギッシュなセミナーに定評がある「落語家FP」でもある。

インデックス投資は市場の平均点を買うこと

カン・チュンドさんはインデックス投資に特化した投資アドバイスを行われていますが、そもそもインデックス運用とはどのようなものでしょうか?

インデックス運用は、いってみれば「市場の平均点を買う」ことです。仮に、ある学校で3年1組の数学のテストの平均点が63点だったとしましょう。そのなかには、3点しか取れなかった人もいれば百点満点の人もいるでしょう。それと同じように、日本の株式市場にもファーストリテイリング、ファナック、ソフトバンクグループなどいろいろな会社が上場し、業績のいい会社もあれば、そうでない会社もあります。そこからどれか1社を選んで買うのは案外難しいものです。しかし、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)など市場の平均点を表す指標(インデックス)を買うのであれば、それほど難しくないはずです。そのような投資の仕方を「インデックス運用」と呼んでいます。

日本だけでなく、世界の株式市場や債券市場など、それぞれの資産、さまざまな国と地域で平均点(=インデックス)が算出され、平均点を投資の対象とする投資信託、つまりインデックスファンドがあります。

1本のインデックスファンドで22カ国約1330銘柄(2015年10月時点)に投資することも!

投資の初心者でもスグに挑戦できそうな方法ですね。ですが、平均点ではあまりおもしろくはなさそうな気もします…。

株式などを頻繁に売買したい人のなかには「インデックス運用はおもしろくない」「無味乾燥な感じがする」と感じる人もいるかもしれません。ですが、インデックス運用にはインデックス運用ならではの醍醐味があります。

たとえば、インデックスファンドのなかには、北米や西ヨーロッパなど日本を除く22カ国の先進国の株式市場の平均点を投資対象とした「MSCI-KOKUSAI指数」の値動きに連動することをめざして運用されるものがあります。「野村インデックスファンド・外国株式(愛称:Funds-i外国株式)」が例えばそうですが、このファンドの2015年9月末のマンスリーレポートを見てみましょう。組入上位10銘柄の欄を見ると、約1330銘柄に投資していることがわかります。さらに詳しく見てみると、アメリカのアップル社に約2.2%、スイスのネスレ社に0.8%投資しています。

仮にこのファンドを1万円買った場合、1万円のうち約220円で間接的にアップル社の株式、約80円でネスレ社の株式に投資していることになります。つまり、インデックスファンドを通じて世界中の有名な企業に投資できる。インデックスファンドに投資することで、自分と世界経済とのつながりを実感できるのではないでしょうか。

インデックス運用はシンプルかつわかりやすい!

なんだかワクワクしますね。ところで、カンさんはインデックス運用に特化した投資アドバイスをされていらっしゃいますが、きっかけはなんだったのでしょうか?

ファイナンシャル・プランナー(FP)をめざして勉強をしていた1998年頃、「日本の20年先を行っている」といわれる米国の資産運用について知りたいと思い、アメリカのいろいろなFPのホームページを閲覧していました。そのときに分散投資とインデックス投資の大切さを訴えるフランク・アームストロング(Frank Armstrong)さんに出会い、初めてインデックス運用やインデックスファンドの存在を知りました。

当時の私は「投資」について、「たくさんの情報や知識を収集、分析したうえで、自分にとってもっともいい投資対象を探し出す、難しく高度な行い」だと考えていました。ところが、アームストロングさんによると、市場の平均点を買うことができる方法と商品があるというのです。目から鱗が落ちるとはこのこと。「なんてシンプルでわかりやすい投資方法、投資商品があるんだろう」と、一投資家として感銘を受けた私は、「自分もインデックス運用を広めるために活動しよう」と決めました。

インデックス運用は投信積立と相性バツグン!!

そのインデックス運用は、積立投資と相性がいいそうですが、なぜでしょうか?

投資について「まとまった資金がないとできないこと」「手間ヒマのかかること」と考えている人もいるのではないでしょうか。実は、そうではありません。これから資産を築く資産形成層でも、毎日本業で忙しいビジネスパーソンでも投資をすることができます。それを可能にする方法のひとつが、毎月一定の金額でファンド(投資信託)を買っていく「投信積立」です。

では、何を積み立てればいいのか。たとえば、日経平均株価や米国のダウ平均株価などインデックスの値動きは、テレビのニュースや新聞などで簡単に把握できます。そのため、日経平均株価やダウ平均株価に連動するインデックスファンドも、わざわざファンドの値段を確認しなくても「先月よりも日経平均株価が下がっているから、今月の積立日には先月よりも安く買えるな」ということがわかるわけです。つまり、自分が何を買っているのか、それがどんな値動きをしているのかを簡単に把握できるという「わかりやすさ」という点にインデックスファンドの良さがあります。

でも、投信積立だと市場が下がったときでも買うのですよね?

それは杞憂というものです。考えてもみてください。仮に毎月千円ずつリンゴを買うことに決めている人がいたとしましょう。その人は、前の月に1個500円だったリンゴが1個250円に下がったら、「今月はたくさん買えるぞ」と喜ぶのではないでしょうか。

投信積立にも似たようなところがあると思います。ファンドの値段を表す基準価額は、そのファンド1万口あたりの価額です。毎月一定額ずつ積み立てる場合、基準価額が下がればより多くの口数を購入することができます。また、ファンドの時価評価額は、[基準価額×口数÷1万]で計算されます。そのため、口数を稼ぐことは中長期的な資産形成に好影響を及ぼすことでもあるのです。

要するに、市場の下落は、一度に大きな資金をまとめて投資した人にとっては「心臓に良くないこと」ですが、積立投資をしている人にとっては「好機」です。今後も世界経済が拡大し続けるならば、市場の平均点であるインデックスも上がっていく可能性があります。平均点が下がったときに買うことは投資の王道であり、それを可能にする投信積立は理にかなった投資のやり方といえるでしょう。

ポイント

  • インデックス運用は市場の平均点を買うこと
  • インデックスファンドに投資することで、自分と世界経済とのつながりを実感できる
  • インデックスファンドの積立投資は、理にかなった投資のやり方

結び

投資をしたいけれど、まとまったお金がないという人でも、月々1万円程度(販売会社によってはランチ代程度からできるところも)からできるインデックスファンドの積立ならすぐにはじめられるのではないでしょうか。また、相場が下がっているときに買うことは勇気がいるものですが、毎月定額を自動的に買っていく積立ならば、あれこれ悩まずに淡々と買付を続けられます。そう考えると、インデックスファンドの積立は、投資の王道への近道なのかもしれません。次回は、インデックスファンドの使いこなし方を教えていただきます。