第5話「インデックスファンドを長期保有することで世の中の変化のダイナミズムを実感できる!」

市場の平均点を買うインデックス運用には、インデックス運用ならではの醍醐味が存在します。日本で唯一のインデックス投資アドバイザー(カン・チュンド氏HPから抜粋)であるカン・チュンドさんに、その醍醐味がどのようなものなのかをうかがうとともに、インデックスファンドの使いこなし術についても教えてもらいました。

晋陽FPオフィス代表、CFP®(ファイナンシャル・プランナー)
カン・チュンド氏

日本で唯一のインデックス投資アドバイザー(カン・チュンド氏HPから抜粋)。1998年にアメリカのファイナンシャル・プランナーの「資産配分を行おう。インデックス投資を実践しよう」というシンプルな考え方に出会い、感銘を受ける。自身もインデックスファンドやETFを用いて「市場の平均値」に投資を行い、長期保有する戦略を実践。

「日本のビジネスパーソンに、シンプルで継続しやすい資産運用を啓蒙すること」をミッションとして掲げる。笑いを取り入れたエネルギッシュなセミナーに定評がある「落語家FP」でもある。

インデックス運用には「DIY型」と「お任せ型」がある

前回はインデックスファンドの魅力を教えていただきましたが、これから資産形成を始める個人投資家は、そのインデックスファンドをどう使いこなせばいいのでしょうか?

一口にインデックス運用と言っても、2つのタイプを選択できます。1つ目は、投資家自身が、どの資産にどのくらい投資するかを考える「DIY(Do It Yourself)型」です。DIY型の場合、自分で資産別インデックスファンドを選んで組み合わせをを作るだけでなく、自分で資産を管理し、メンテナンスもする必要があります。というのは、仮に株式の値段が上がって債券の値段が下がった場合、運用を始めた当初とは資産の配分割合がズレてしまうからです。そのため、定期的に元の配分割合に戻す「リバランス」というメンテナンス作業が必要になります。

もうひとつのタイプは「お任せ型」。これは1本の投資信託のなかで、資産の分散と国地域の分散をしてくれる「バランス型」のインデックスファンドを買う方法です。バランス型のインデックスファンドは、運用会社が組入れ資産とその配分割合を予め決めて提示してくれますし、メンテナンスも行ってくれます。

DIY型とお任せ型のどちらを選べばいいのかで迷いそうですね。

ポイントは、自分の特性や性格、考え方にあった運用のスタイルを選ぶことです。DIY型は、例えば家具を例にあげると、自分で組み立てるものを選び、不具合が生じた場合も自分で修理するタイプの人に向いています。一方、お任せ型は、完成型の家具を選び、できれば室内全体のコーディネイトもして欲しいタイプの人に向いている。要するに、日常生活の物やサービスを選択する場面で、自分がどちらのタイプかを考え、自分にフィットするほうを選べばいいでしょう。

長期保有で世界的な経済成長の伸びしろを享受

ところで、積立と相性がいいインデックスファンドは、長期保有にも適しているのでしょうか?

その通りです。インデックスファンドを長期保有することは、長期的な世界経済の成長の伸びしろを獲得することです。例えば、新興国の株式に投資するインデックスファンドには、「MSCIエマージング・マーケット指数」の値動きに連動して運用されるものがあります。「野村インデックスファンド・新興国株式(愛称:Funds-i 新興国株式)もそのひとつですが、このファンドの2015年11月末のマンスリーレポートで「国・地域別配分」を見ると、中国が21.5%、韓国が15.5%、台湾11.5%、インド8.1%となっています。仮にこのファンドが2000年にも有ったとした場合、当時の中国やインドは今と比べてまだまだ経済の規模が小さく、組入比率もこれほど大きくはなかったでしょう。それが今や、中国は世界第2位、インドは第9位の経済大国に成長したわけです。インデックスファンドを保有し続けることは、このような経済成長の果実を長期にわたって享受することに他なりません。

世界経済のダイナミックな変化に無理なく追随できる

インデックスファンドを持つことで、世界経済の変化が身近に感じられそうですね。

インデックスファンドには、それぞれ運用の目安となる指数(インデックス)がありますが、そのインデックス自体が世の中の変化に合わせて定期的に組入国および組入銘柄の入れ替えを行っています。「MSCIエマージング・マーケット指数」を例にあげると、かつてはイスラエルも組入国のひとつでしたが、2010年に先進国株式のインデックスである「MSCI KOKUSAI指数」に移動しています。また、2014年にはカタールとUAE(アラブ首長国連邦)が「MSCIエマージング・マーケット指数」の組入国になりました。

つまり、インデックスそのものが新陳代謝を続ける生き物であり、インデックス投資は世の中の変化のダイナミズムを如実に映し出すものです。決して無味乾燥で固定的なものではなく、世界経済のダイナミックな変化に無理なく追随していける投資のやり方です。これはインデックス投資ならではの醍醐味だと私は考えています。

アクティブファンドを組み合わせて「ワクワク感」をプラス!

投資信託にはアクティブファンドもありますが、インデックスファンドと組み合わせて持つとしたら、どんな方法が考えられますか?

インデックスファンドが市場の平均点を買うのに対し、アクティブファンドは市場平均を上回る成績を目指して運用会社の人が銘柄を選ぶ、いわば運用会社や運用チームの「目利き力」にお金を託す商品です。その意味では、インデックスファンドにはない「ワクワク感」が得られる商品だとも言えるでしょう。アクティブファンドを選ぶ際に重要なことは、そのファンドの運用哲学や理念に共感できるかどうか。「これぞ!」と思えるファンドを見つけたら、資産運用の「楽しみ」の部分として投資資金の一部を振り向けましょう。

アクティブファンドを組み合わせるなら資産の一部で、ということですね。

そうです。少し専門的な話になりますが、資産運用の世界では、保有する資産を「コア(中核)」と「サテライト(衛星)」に分けて運用する「コア・サテライト戦略」こそが、効率的な運用につながると考えられています。このうちコアの部分はインデックスファンドの分散投資による長期運用、サテライトの部分では特定の投資対象に特化したインデックスファンドやアクティブファンドを利用した短期的な投資を行います。

インデックスファンドの長期保有は、世界経済のダイナミズムを感じることはできても、その過程では粛々とインデックスファンドを積み立てるわけですから、少々退屈かもしれません。そこにアクティブファンドを持つことによる「ワクワク感」が加われば、運用を長く続けるモチベーションにもつながるでしょう。なお、「コア・サテライト戦略」を実行するにあたっては、コア資産とサテライト資産との配分比率を決め、それを守るなどのルール作りが重要です。

ポイント

  • インデックス運用には「DIY型」と「お任せ型」がある
  • インデックスファンドの長期保有で世界的な経済成長の伸びしろを享受できる
  • アクティブファンドを組み合わせれば「ワクワク感」も感じられる

結び

インデックスファンドを長期保有することで世の中の変化が身近に感じられるようになれば、新聞やテレビのニュースにも今よりもっと興味を持てるようになりそうです。もちろん、世界経済の成長に伴って自分の資産も成長するという楽しみも! 次回は、インデックス投資を続けるうえでのメンテナンスの方法や注意点についてうかがいます。