鵜目鷹目01. 2010年代の分散投資

2010年11月26日掲載

分散投資と相関構造

運用目標を達成する手段として、分散投資は重要である。しかし、単に資産をいくつかに分散したら十分ということはない。分散投資をより効果的にするには、相関の低い資産の組合せが必要である。一方で、経済は生き物である。好調な時もあれば不調の時もある。この経済を支える条件が変化すれば、その相関構造も変化する。長期の視点でみれば、日々の変化に一喜一憂しても仕方がないとしても、大きな変化が生じているのであれば、それを踏まえた手段の見直しは必要である。以下、1980年代後半以降の主要な市場について、簡単に振り返りつつ、2010年代の分散投資を考えてみたい。

相関構造の変化

下表に、4つの局面-バブル経済(Ⅰ)バブル崩壊後(Ⅱ)ゼロ金利政策導入後(Ⅲ)リーマン・ショック前後(Ⅳ)-に分け、日本株と各資産との相関係数、日米の短期・長期金利の水準、円ドルレートのリターンを示した。

表から、
(1)バブル崩壊により国内金利は低下
(2)1999年に始まったゼロ金利政策で国内金利は更に低下する一方で内外金利差は拡大し、金利差面からの円高圧力は弱まる中で日本株と日本債・外国債の逆相関性が強くなった。
(3)リーマン・ショックを挟むⅣ期は、日本株と日本債の逆相関性は継続することに加え、欧米金利の低下により円高圧力がかかりやすいため、円ドルとの相関があがり、外国株や外国債との相関も高くなった。

表 日本株と各資産との相関係数、日米の長短金利の水準、円ドルレートのリターン

unome_takanome01_1.gif

【表記について】
金利水準、リターンは%表示(年率)

【使用した指数等】
日本株:TOPIX(配当込み)(但し、1986年1月末~1989年1月末のリターンは東証一部の配当利回りを基に、当社独自に計算)
日本債:NOMURA-BPI総合
外国株:MSCI-KOKUSAI指数(円ベース・為替ヘッジなし)
外国債:シティグループ世界国債インデックス(除く日本、ヘッジなし、円ベース)
外国債ヘッジ:シティグループ世界国債インデックス(除く日本、円ヘッジ、円ベース)
日本短期金利:有担保コール翌日物金利
米国短期金利:3ヵ月物米国財務省短期証券流通レート
日本長期金利:10年国債パーイルド
米国長期金利:10年物財務省証券利回り

【出所】
(株)東京証券取引所、野村證券株式会社、MSCI、シティグループ・グローバル・マーケッツ・インク、短資協会、FRBデータを野村総合研究所Super Focus、トムソン・ロイターより取得し、野村アセットマネジメントが作成

これからの分散投資

この中で分散投資の有効性に疑問符がついた。一方で、内外金利差の縮小から為替ヘッジにかかるコストは大幅に低下しており、為替ヘッジの有効性が従来以上に増している。為替ヘッジした外国債は、金利低下の中で日本債同様、日本株との相関が低い。

当面Ⅳ期が持続すると仮定した場合、今回分析した先進国の範囲では、分散効果を高めるには、為替ヘッジをとりいれていくことがポイントの一つであろう。

 

【使用した指数の著作権等】
●東証株価指数(TOPIX)は、株式会社東京証券取引所(以下(株)東京証券取引所)の知的財産であり、この指数の算出、数値の公表、利用など株価指数に関するすべての権利は(株)東京証券取引所が有しています。(株)東京証券取引所は、TOPIXの算出もしくは公表の方法の変更、TOPIXの算出もしくは公表の停止、またはTOPIXの商標の変更もしくは使用の停止を行なう権利を有しています。
●NOMURA-BPI総合は、野村證券株式会社が作成している指数で、当該指数に関する一切の知的財産権とその他一切の権利は野村證券株式会社に帰属しております。また、野村證券株式会社は、当該インデックスの正確性、完全性、信頼性、有用性を保証するものではありません。
●MSCI-KOKUSAI指数は、MSCIが開発した指数です。同指数に対する著作権、知的所有権、その他一切の権利はMSCIに帰属します。またMSCIは同指数の内容を変更する権利および公表を停止する権利を有しています。
●シティグループ世界国債インデックスは、シティグループ・グローバル・マーケッツ・インクが開発した指数であり、同指数に対する著作権、知的財産権、その他一切の権利は同社に帰属します。