鵜目鷹目06. 資産配分-リスク資産比率固定型とリスク資産比率漸減型の比較

2011年4月1日掲載

リスク資産の配分について

リスク資産の配分を固定するか変化させるかということについては、様々な議論がある。従来の資産配分の議論だと、リスク許容度が一定のもとでは、リスク資産の配分を固定すべきとする一方で、家計においては、年齢が上がるにつれて、リスク資産比率を引き下げるべきという議論がある。

一般論として、リスク資産が傾向的に上昇する場合は、一定の比率、例えば100%で保有すれば、リスク資産の上昇を享受することが出来る。50%の比率であれば、半分とそれ以外の資産のリターンの組み合わせが投資収益となる。逆に傾向的に下落するのであれば、リスク資産比率を極力引き下げることが望ましい。

リスク資産が循環した場合

さて、リスク資産が循環するとしたらどうなるだろうか?図1にその場合を示した。このケースでは、リスク資産として株式、株式以外の資産は無リスク資産として、固定金利物(ここでは1%)としている。固定比率とは50%で株式を保有、株比率漸減は開始時点で株比率を100%として、期毎に株比率を5%ずつ低下させる操作を行う。

図1 当初株価が最も低い位置から循環した場合の累積収益の推移

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【出所】
野村アセットマネジメントが作成

これをみると、単に循環するのであれば、時間が経つにつれて、固定比率が金利の効果も受けて上昇トレンドを持つ。また、株比率漸減型は、下値が徐々に切りあがっていく。

図1は、当初株価が最も低い位置から上昇して循環するパターンであるが、図2では当初株価が高値から始まって下落する循環を考えてみた。

図2 当初株価が最も高い位置から循環した場合の累積収益の推移

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【出所】
野村アセットマネジメントが作成

この場合、株50%の累積投資収益が最も高い。株比率漸減型は徐々に下値が切り上がっていく。結果として、株100%とほぼ同じ位置にある。このように、開始時点によって、結果が異なるので、変化させる場合は留意したい (※)。

※冒頭の年齢が上がるにつれて株比率を引き下げる議論について、最近では、給与等の人的資本と金融資産の合計に対して、リスク資産を一定に保つという議論がある。その場合、金融資産だけを取り出して評価するのは、バランスに欠けた議論となるので注意したい。

リスク資産の配分とトータルリターンの関係

より一般論を考えてみたい。
株式と無リスク資産の2つの資産でトータルリターンを1期間として記述すると、

トータルリターン
= 株比率 × 株リターン + ( 1 - 株比率 ) × 無リスク資産リターン
= ( 株リターン - 無リスク資産リターン ) × 株比率+無リスク資産リターン
= リターン格差×株比率+無リスク資産リターン

となる。トータルリターンが高くなるには、株と無リスク資産のリターン格差が大きく、その際に株比率が高いこと、また、無リスク資産のリターンが大きいことが必要となる。例えば、図1の例において、無リスク資産の金利が3%だと、次の図3のようになる。

図3 無リスク資産の金利を3%とした場合の累積投資収益の推移

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【出所】
野村アセットマネジメントが作成

この場合、金利効果によって、株比率漸減型は安定的に投資収益が上がっていく。

分配金によるリスク資産比率の漸減

近年、毎月分配型の投信に人気がある。分配金を受け取り型にして、その分配金を預金等で運用した場合、投信とこの分配金累積の合計では、リスク資産比率は漸減していくことになる。つまり、全体としては、ここで分析したように、開始時点や無リスク資産のリターン水準にも影響を受けることになる。個別商品の特性のみならず、資産運用全体に目配りしていきたい。