鵜目鷹目03. 保守的資産配分と新興国債券

2010年12月30日掲載

日本債券を中心とした保守的な資産配分の検討

日本の家計の貯蓄に占める預貯金の割合は諸外国と比較して高いと言われる。2010年10月29日に総務省が発表した家計調査(2010年4-6月)をみても、平均で貯蓄に占める通貨性預金と定期性預金は合わせて6割を超えている。そこで、今回は、日本債券を中心とした保守的な資産配分を検討してみたい。

投資環境と新興国債券の活用

投資環境を俯瞰すると、第一回でも見たように、90年代以降、日本は低金利、また、2008年9月のリーマン・ショックにより、主要先進国の金利も欧州の一部を除き、低金利状態にある。それにより円高になりやすい地合いも続いている。

一つのアイデアは、新興国債券の活用である。新興国経済は、2000年代に入り、高い成長を続けており、それはリーマン・ショック後も同様である。趨勢的に金利も低下したとは言え、先進国に比べてまだ高い。新興国債券には、主にドル建て債券と現地通貨建て債券があり、各々の特徴を理解しておくことが肝要である。

5つの配分例とその累積投資収益率

図1に日本債、外国債(先進国、円ベース)、外国債H(先進国、円ヘッジ)、日本債70%とEM債30%(現地通貨建て新興国債券、円ベース)、日本債70%とEM債H30%(ドル建て新興国債券、円ヘッジ)の組合せからなる5つの配分例の累積投資収益の推移を示した。

まず、外国債に注目したい。リーマン・ショックまでは先頭を切って、順調に上昇したものの、ショック後は第二集団にいたEM債券との組合せグループに後塵を拝している。ショックまでの円安とその後の円高により、相対地位が変化した。一方、第三集団にいる外国債Hのパフォーマンスは、理屈通り、日本債並みであるが、ショック後は、金利低下に加え、ヘッジコストの低下により、日本債そのものより上昇傾向にある。

次に、ショック前まで第二集団にいた日本債70%とEM債30%、EM債H30%の組合せをみてみたい。EM債は現地通貨建て、EM債Hはドル建て債券である。これらは、投資対象国の違いや満期までの長さ等が異なる。現地通貨建て債は満期までの期間がドル建て債に比べ短い。従って、前者の方が通貨変動の影響を受けやすく、後者は金利変動とドル変動の影響を受けやすい。とは言え、元々金利が高いこともあり、EM債Hは円ヘッジで円高を回避、EM債は資源通貨の回復もあり、共に先頭集団に踊り出ている。

図1 累積投資収益の推移

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【図について】
期間は2002年12月末から2010年11月末まで。

【使用した指数等】
日本債: NOMURA-BPI総合
外国債: シティグループ世界国債インデックス(除く日本、ヘッジなし・円ベース)
外国債H: シティグループ世界国債インデックス(除く日本、円ヘッジ・円ベース)
EM債H: JPモルガン・エマージング・マーケット・ボンド・インデックス・プラス(ドルベース)を日米短期金利差で控除
EM債: JPモルガン・ガバメント・ボンド・インデックス-エマージング・マーケッツ・グローバル・ディバーシファイド(円換算ベース)

【出所】
野村證券株式会社、シティグループ・グローバル・マーケッツ・インク、ジェー・ピー・モルガン・セキュリティーズ・エルエルシー、BBAのデータを野村総合研究所Super Focus、トムソン・ロイター、ブルームバーグより取得し、野村アセットマネジメントが作成

5つの配分例のリターンとリスク

図2に、5つの配分例のリターンとリスクを示した。日本債にEM債を多少組み込むことで、その金利水準の高さを享受できると同時にリスクも5%以内に抑えられたことがわかる。その中で、日本債とEM債Hとの組合せの方が、日本債とEM債との組合せに比べ、更にリスクを抑えられている。ちなみに、計測期間中の最大ドローダウン(ここでは月末ピーク時点からの最大下落率と定義)は、日本債70%とEM債30%の組合せで-8.9%、日本債70%とEM債H30%の組合せで-6.1%と、図2のリスクと同様、為替ヘッジをした方が下落率は小さかった。

新興国債券を少し組み込んだ保守的配分

以上、日本債券に新興国債券を少し組み込んだ保守的配分の効果を解説した。為替ヘッジするか否かは、リスク抑制を主眼とするなら、為替ヘッジが好ましい。その上で、ヘッジコストを少しでも気にするなら、金融政策等の変化に注意を払いたい。また、債券投資の場合、投資時点の利回りも重要である。図2の縦軸のリターンは、2002年末からの計測の結果であり、この間の金利低下による部分が含まれている。直近の利回り等は新聞や各種の情報サイトより確認することが望ましい。

 

図2 リターンとリスク

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【図について】
期間は2002年12月末から2010年11月末まで。
リターンは月次収益率の平均を年率換算した値です。リスクは月次収益率の標準偏差を年率換算した値です。

 

【使用した指数等】
日本債: NOMURA-BPI総合
外国債: シティグループ世界国債インデックス(除く日本、ヘッジなし・円ベース)
外国債H: シティグループ世界国債インデックス(除く日本、円ヘッジ・円ベース)
EM債H: JPモルガン・エマージング・マーケット・ボンド・インデックス・プラス(ドルベース)を日米短期金利差で控除
EM債: JPモルガン・ガバメント・ボンド・インデックス-エマージング・マーケッツ・グローバル・ディバーシファイド(円換算ベース)

 

【出所】
野村證券株式会社、シティグループ・グローバル・マーケッツ・インク、ジェー・ピー・モルガン・セキュリティーズ・エルエルシー、BBAのデータを野村総合研究所Super Focus、トムソン・ロイター、ブルームバーグより取得し、野村アセットマネジメントが作成

 

 

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●「シティグループ世界国債インデックス(除く日本、ヘッジなし・円ベース)」、「シティグループ世界国債インデックス(除く日本、円ヘッジ・円ベース)」は、シティグループ・グローバル・マーケッツ・インク(CGMI)が開発した日本を除く世界主要国の国債の総合利回りを各市場の時価総額で加重平均した債券インデックスで、CGMIの知的財産であり、指数に関するすべての権利は、CGMIが有しています。
●JPモルガン・エマージング・マーケット・ボンド・インデックス・プラス(JP Morgan Emerging Market Bond Index (EMBI)Plus))、JPモルガン・ガバメント・ボンド・インデックス-エマージング・マーケッツ・グローバル・ディバーシファイド(JP Morgan Government Bond Index-Emerging Markets(GBI-EM)Global Diversified)は、ジェー・ピー・モルガン・セキュリティーズ・エルエルシー(以下、「インデックス・スポンサー」といいます。)に帰属します。インデックス・スポンサーは、本インデックスを参照する証券、金融関連商品又は取引(以下各々「商品」といいます。)を、賛助し、支持し、又はその他の方法で推奨するものではありません。本書に含まれる商品に関する情報は、その提供のみを目的としたものであり、商品の購入若しくは販売を目的とした募集・勧誘を行うものではありません。本インデックスの情報源及びこれに含まれるデータ若しくはその他の情報は信頼できると思われるものですが、インデックス・スポンサーはその完全性及び正確性を保証するものではありません。インデックス・スポンサーは、いかなる商品への投資の妥当性について、明示黙示を問わず、何らの表明又は保証をするものではありません。インデックス・スポンサーは、いかなる商品の管理、マーケティング又は取引に関して、何らの責任又は義務を負いません。本インデックスに関する追加の情報については、www.morganmarkets.com をご覧ください。当情報の著作権は、ジェー・ピー・モルガン・チェース・アンド・カンパニーに帰属します。