鵜目鷹目20. 変調を考える

2012年10月4日掲載

変調を考える

従来、うまく行っていたことがうまく行かない場合、内部で何か変化が生じていることが多い。今回は、新興国株式と日本の大型バリュー株を例に考えてみたい。

新興国株式は2000年代に入り、9.11事件を契機に資源価格上昇に乗り、先進国株式を大きくアウトパフォームした。2008年9月のリーマン・ショック時に大きく下落したものの、その後の回復力は先進国を大きく上回った。ところが、2010年の秋からやや不調となっている。また、日本の大型バリュー株も長期的にTOPIXをアウトパフォームする傾向を持っているが、2009年の春より不調が続いている。

新興国株式について

まず、新興国株式と先進国株式の相対的な動向を長期で見ていこう。

図1 新興国株式と先進国株式の推移

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【図について】
期間は1984年12月末から2012年8月末まで。1984年12月末を100として指数化。

【指数について】
先進国株式は、MSCI-WORLD(円ベース)。
新興国株式は1984年12月末から1987年12月末までがS&P/IFCエマージング株指数(円ベース)、88年1月以降はMSCI-EM(円ベース)。
各指数のドルベースを元に野村アセットマネジメントが円換算。

【出所】
MSCI等のデータをDatastream等より取得し、野村アセットマネジメントが作成

 

長期的にみると、新興国株式のパフォーマンスが先進国に比べて圧倒的に上回っているように見えなくもない。しかしながら、相対株価でみると、循環的な動きを示しているようにも見える。水準だけみると、どうしても直近までの累積が大きい分、過大評価をしがちである。

80年代後半から90年代前半にも新興国株式が好調であった時期がある。その後、先進国株式がより上昇して追いつく中で、相対株価は大きく低下した。

次に、新興国株式と言えば、2000年代に入っての資源価格上昇の印象が強いので、商品市場との関係を確認しておきたい。図2に、図1の新興国と先進国の相対パフォーマンスの循環性に着目して、新興国株式の先進国株式に対する超過収益(新興国株式と先進国株式のリターン差)と新興国株式と商品市場のリターン差、商品市場と先進国株式のリターン差に分解してみた。

図2 新興国株式、先進国株式、商品市場のパフォーマンス

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【図について】
期間は1987年4月から2012年8月まで。

【指数について】
先進国株式は、MSCI-WORLD(円ベース)、新興国株式は1987年4月から1987年12月までがS&P/IFCエマージング株指数(円ベース)、88年1月以降はMSCI-EM(円ベース)、商品市場は、S&P GSCI商品指数(円ベース)。
各指数のドルベースを元に野村アセットマネジメントが円換算。

【出所】
スタンダード&プアーズ ファイナンシャル サービシーズ エル エル シー、MSCI等のデータをDatastream等より取得し、野村アセットマネジメントが作成

 

これを見ると、新興国株式が先進国株式をアウトパフォームする要因として商品市場が先進国株式市場を大きくアウトパフォームしている点が挙げられる。直近の新興国市場の不調の裏で商品市場がさほど上昇していない。勿論、新興国の内需も育ってきており、単純に資源上昇=新興国アウトパフォームという構造は崩れてくる可能性はありえる。その点に注意しながらも、この構造に注目しておきたい。

日本の大型バリュー株について

次に日本の大型バリュー株について見ていこう。

図3 大型バリュー株、TOPIXの推移

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【図について】
期間は1979年12月末から2012年8月末まで。1979年12月末を100として指数化。

【指数について】
大型バリュー株は、ラッセル野村大型バリュー株指数。

【出所】
東京証券取引所、野村證券等のデータを野村総合研究所Super Focus等より取得し、野村アセットマネジメントが作成

 

これをみると、大型バリュー株は長期的にTOPIXをアウトパフォームしていることが確認できる。不調な時期は80年代前半の国際優良株相場、90年代後半の金融危機及びその後のIT相場の時期、そして今回である。
先と同様に大型バリュー株のTOPIXに対する超過収益を大型株に対する大型バリュー株、TOPIXに対する大型株に分解したものを図4に示した。

図4 大型バリュー株、大型株、TOPIXのパフォーマンス

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【図について】
期間は1982年4月から2012年8月まで。

【指数について】
大型バリュー株は、ラッセル野村大型バリュー株指数。
大型株は、ラッセル野村大型株指数。

【出所】
東京証券取引所、野村證券等のデータを野村総合研究所Super Focus等より取得し、野村アセットマネジメントが作成

 

今回の大型バリュー株の不調は、大型株の中でもバリュー株が不調であったことがわかる。これは過去と同様である。強いて言えば、大型株自体がTOPIXに比べてマイナスという点で80年代前半との共通点がある。また視点を変えると、バリュー株がアンダーパフォームした後は、大きくアウトパフォームする局面が来ていた。

変調を理解することで

以上、新興国株式と日本の大型バリュー株の変調局面を分析してみた。少しでも背景を理解しておくことで、逆境(変調)時の軸のブレを減らすことが出来よう。それは戦術として、順張り、逆張り手法のいずれを選択するにしてもである。

 

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