鵜目鷹目27. 新興国とフロンティア諸国

2013年6月14日掲載

インデックス投資における新興国とフロンティア諸国の位置づけ

2008年9月のリーマン・ショック後も堅調と思われた新興国とフロンティア諸国の株式市場が今一つのパフォーマンスである。このコーナーの第18回においても、新興国の変化を取り上げた。今回は、中東、アフリカを中心としたフロンティア諸国も含めて、変化の経過を確認すると共に、今後の位置づけを再確認したい。

パフォーマンスの観点から

図1に2007年末を100とした各株価指数のパフォーマンス推移を示した。

図1 各株価指数のパフォーマンス推移

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【図について】
期間は、2007年12月末から2013年3月末まで。2007年12月末を100として指数化。

【指数について】
日本株は、TOPIX(配当込み)。
先進国株は、MSCI-KOKUSAI指数(円換算ベース)。
新興国株は、MSCIエマージング・マーケット・インデックス(配当込み・円換算ベース)。
フロンティア株は、MSCIフロンティア・マーケット・インデックス(配当込み・円換算ベース)。

【出所】
(株)東京証券取引所、MSCI、WMロイター等のデータを野村総合研究所Super Focus、トムソン・ロイター等より取得し、野村アセットマネジメントが作成

 

これをみると、今年3月末時点においては、先進国株のパフォーマンスが最も高く、フロンティア株のパフォーマンスが最も低い。日本株は新興国株に追いついたところである。フロンティア株は低位状態となっている。もっとも、図の視覚効果にも注意が必要である。図2に先進国株に対して相対化した各株価指数の推移を示したが、フロンティア株は段階的に下方シフトしたものの、2012年以降は横ばいであり、先進国株並みのパフォーマンスになってきている。

図2 先進国株との相対株価推移

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【図について】
期間は、2007年12月末から2013年3月末まで。2007年12月末を100として指数化。

【指数について】
日本株は、TOPIX(配当込み)。
新興国株は、MSCIエマージング・マーケット・インデックス(配当込み・円換算ベース)。
フロンティア株は、MSCIフロンティア・マーケット・インデックス(配当込み・円換算ベース)。
先進国株は、MSCI-KOKUSAI指数(円換算ベース)。

【出所】
(株)東京証券取引所、MSCI、WMロイター等のデータを野村総合研究所Super Focus、トムソン・ロイター等より取得し、野村アセットマネジメントが作成

各株価指数の特徴

先進国、新興国、フロンティア諸国とカテゴリー別で地域のウエイトをみると、先進国は北米、欧州のウエイトが高く、新興国はアジアのウエイトが高い。一方、フロンティア諸国は中東、アフリカのウエイトが高いといった特徴がある。また業種も資源や金融に偏った特徴がある。パフォーマンスのばらつきも、地域や業種の偏りを反映したものと捉えることができる。

GDPの観点から

次に、マクロ全体でみた時の成長を確認しておこう。図3は各カテゴリーにおける実質GDP成長率の単純平均を累積し、対先進国で示したものである。

図3 実質GDPの対先進国相対推移

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【図について】
期間は、1979年から2018年まで。
2012年以降(一部の国は2011年、2010年以降)の実質GDP成長率は、IMFの予測値を使用。
構成国の実質GDP成長率の平均を累積し、先進国のそれで除した値を1979年を100として指数化。

【出所】
IMFのデータより野村アセットマネジメント作成

 

新興国自体は、80年代より先進国より成長スピードが速かった。97年のアジア通貨危機、98年のロシア通貨危機で相対的な成長率は落ち込んだが、99年以降、成長速度は先進国を抜いた。フロンティア諸国は、80年代前半は先進国並みの成長、後半は劣後、そして90年代は先進国並みで成長したあと、99年を境に成長のスピードが先進国を抜くようになってきた。IMFの予測では、今後もそれが継続すると見込んでいる。

今年3月末時点における時価総額は、先進国、新興国、フロンティア諸国で各々87.5%、12.2%、0.4%である。また、2012年の名目GDPの比率は各々61.8%、32.5%、5.7%である。今後の経済規模の大きさという点で、「名目」GDPの成長率に注目すると、新興国とフロンティア諸国では、異なった様子が浮かびあがる。
図4は、地域ごとの実質成長率とインフレ率を示した。欧州地域は新興国、フロンティア諸国ともに成長率、インフレ率は低い。一方で、アジア、アフリカは新興国、フロンティア諸国でも成長率、インフレ率ともに高い。中南米は、フロンティア諸国での成長率が低く、インフレ率が高い。インフレ率が高いと、現地通貨ベースでの株式のリターンは高くても、海外からの投資では為替で減価する可能性を有している。新興国やフロンティア諸国への投資は為替ヘッジをしないで投資することが多いので、地域、更に言えば国ごとの違いを把握しておく必要がある。

図4 平均実質成長率、インフレ率(2010-2018年)

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【図について】
期間は、2010年から2018年まで。
2012年以降(一部の国は2011年、2010年以降)の実質GDP成長率、インフレ率は、IMFの予測値を使用。各値は構成国の単純平均。

【出所】
IMFのデータより野村アセットマネジメント作成

 

上でみたように株式市場規模と経済規模のギャップは新興国やフロンティア諸国では大きい。しかも、実質成長率とインフレ率はまだらである。インデックス投資の観点においても、全体インデックスと地域や国インデックスの組合せが従来にも増して必要になっていくと考えられよう。

 

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