鵜目鷹目29. 本格的な資産運用の時代

2013年9月20日掲載

家計の資産運用について

日本の金融資産に占めるリスク資産のウェイトは諸外国に比べて、低いという見方がある。一方で、実物資産を含めると必ずしもリスク資産のウェイトは低くないという見方も見かける。今回は、全体の状況を確認した上で家計の資産運用について考えてみたい。

家計の総資産に占めるリスク資産ウェイトは大幅に低下

まずは、家計の総資産に占める各資産のウェイト推移を図1に示した。

図1 家計の総資産に占める主な資産のウェイト推移

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【図について】
期間は、1969年度から2011年度まで。

【出所】
内閣府、国民経済計算のデータより野村アセットマネジメントが作成

 

家計資産には、土地がある。それは家計が住宅を必要としているからである。図をみると、土地のウェイトは1991年までおよそ50%を占めていた。ところが、それ以降は図2に示したように土地価格の下落に伴い、そのウェイトは低下した。2005年以降、ウェイトの低下は止まったかのようには見えるが、上昇傾向に転じたとは言えない。
この一方で、金融資産総額のウェイトは上昇傾向にあり、現在では60%近いところにまで達したが、金融資産の内訳である株式・出資金は10%未満で推移している。このため、土地と株式・出資金を合わせたいわゆるリスク資産のウェイトは、1991年以前で50%以上であったものが、今では30%台前半に低下している。つまり、家計の総資産に占めるリスク資産ウェイトは大幅に低下したわけである。

図2 市街地価格(住宅)の推移

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【図について】
期間は、1969年3月から2013年3月まで。

【出所】
財団法人日本不動産研究所「市街地価格指数・全国木造建築費指数」のデータより野村アセットマネジメントが作成

 

では、今後、かつてのように土地価格が大幅に上がるか?ということだが、それは経済状況に依存するだろう。低成長を前提にすれば、かつてのような水準に戻るには時間はかかるだろうし、人口の減少を踏まえると、地域間の格差がより出てくるだろう。直近はピーク時からみて全国で-50.9%、東京圏で-61.1%低下している。現時点で東京圏の住宅地価格は下げ止まりつつあるが、全国ベースでは下落傾向が続いているようにも見える。

こうした状態であれば、家計の資産に占める金融資産の役割がますます重要になってくる。金融資産の場合は、利息、配当等の目に見えるキャッシュフローが生じることに加えて、値上がり(値下がり)益を産むからである。

年齢層別の貯蓄額に対する比率

そうした場合、金融資産の資産配分が重要になってくる。一方で、家計の場合、資産配分の議論では、世帯主の年齢を踏まえることが大切である。年齢層によって、持ち家の有無、子供の有無による生命保険や教育費といった費用が発生するからである。図3に年齢層別の生命保険等比率、株式・株式投信比率、住宅・土地負債比率を示した。

図3 年齢層別の生命保険等比率、株式・株式投信比率、住宅・土地負債比率

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【図について】
比率は対貯蓄額に対する当該項目の額の比率。

【出所】
総務省、家計調査のデータより野村アセットマネジメントが作成

 

住宅・土地負債比率は、30~39歳をピークに低下している。一方、生命保険等比率は40~59歳がピークである。株式・株式投信比率は年齢と共に上昇傾向にある。図4に同じく年齢層ごとの通貨性預金比率、定期性預金比率、株式・株式投信比率を示した。

図4 年齢層別の通貨性預金比率、定期性預金比率、株式・株式投信比率

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【図について】
比率は対貯蓄額に対する当該項目の額の比率。

【出所】
総務省、家計調査のデータより野村アセットマネジメントが作成

 

年齢が上昇するにつれて、前述のように株式・株式投信比率が上昇すると共に、定期性預金比率が上昇していることが読み取れる。つまり、家計はライフステージによって発生する住宅・住居費、子供の教育費、保険等に資金を配分しつつ、その余裕が出てくれば老後の運用を考えている訳である。残念なのは、低金利状態が長らく続いているので通貨性預金と定期性預金の金利に差はさほど無いにも関わらずこうした定期性預金では、一定の期間が固定化されている点である。この意味で、自由度の確保と手段の多様化という点で、様々な資産クラスが用意されている投資信託はこの問題を解く有力な手段となる。

例えば、定期性預金の代替ということに焦点を当てて、リスク量を抑えた運用を考えるならば、例えば日本債、外債ヘッジ、新興国ドル債ヘッジのインデックスファンドの組み合わせを考えればよい。積立投資を利用することで、順張りと逆張りの要素を入れて、金利変動への対応力を工夫していけばよい。債券の場合、金利の上昇は価格の低下となるが、一方で利回りは上昇する。

NISA(少額投資非課税制度)がスタートしようとしている現在、今一度、家計の金融資産の運用の在り方を再考することが望ましいと思われる。