鵜目鷹目44. 投資効率の循環性

2015年8月7日掲載

投資効率の変動

今回は投資効率の循環性について検討していきたい。ここでいう投資効率は便宜的にシャープ・レシオで定義したものとする。シャープ・レシオとは、ポートフォリオのリターンからリスクフリーレート(短期金利)を差し引いたものをポートフォリオのリスクで除したもので、1リスクあたりの短期金利に対する超過収益と言える。

理論的にはどの資産クラスも一定の範囲が期待されているが、2-3年の期間でみると、経済状況次第で大きく変動する。したがって、余りにも高すぎれば注意が必要であり、逆に低すぎればそろそろ投資のタイミングとの解釈も可能となる。

シャープ・レシオの検証

投資対象を日本株、日本債、外国株、外国債として、それぞれを組み合わせたケースとして、日本株と外国株を15%ずつ、日本債と外国債を35%ずつとしたパターン(バランス1)、そして4資産をそれぞれ25%ずつ保有したパターン(バランス2)の都合6ケースを考える。図1に各資産の結果を示した。

図1 「4資産のシャープ・レシオの推移」

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【図について】
期間は1988年1月末から2015年6月末まで。シャープ・レシオは2年間の月次リターンで計測。

【指数について】
日本株:TOPIX(配当込み)
日本債:NOMURA-BPI総合
外国株:MSCI-KOKUSAI(配当込み、円換算ベース)
外国債:シティ世界国債インデックス(除く日本、ヘッジなし・円ベース)

【出所】
IDS-QE、Datastream等より取得し、野村アセットマネジメントが作成

 

この図表から、①シャープ・レシオは概ね-2~+3の間を推移している、②日本債は比較的安定した高いシャープ・レシオを維持していることがわかる。①について、仮にポートフォリオのリスクを1%、短期金利をゼロとすると、月間のポートフォリオのリターンはシャープ・レシオ-2の時が-3~-1%、+3の時は+2~+4%の範囲に約7割の確率で入るということを意味している。次に2つのバランスタイプのシャープ・レシオを図2に示した。

図2 バランス型のシャープ・レシオの推移

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【図について】
期間は1988年1月末から2015年6月末まで。シャープ・レシオは2年間の月次リターンで計測。

【指数について】
日本株:TOPIX(配当込み)
日本債:NOMURA-BPI総合
外国株:MSCI-KOKUSAI(配当込み、円換算ベース)
外国債:シティ世界国債インデックス(除く日本、ヘッジなし・円ベース)

【出所】
IDS-QE、Datastream等より取得し、野村アセットマネジメントが作成

 

これをみると、概ね重なった動きをしている。-1~+2の間を推移していることもみて取れる。先と同様の仮定を置くと月間のポートフォリオリターンはシャープ・レシオが-1の場合は-2~0%、+2の場合は+1~+3%の間に約7割の確率で収まるということである。更に言えば+2の場合は0~+4%の間に約95%の確率で収まることを意味する。言い換えると、月間のリターンが殆どプラスということを意味する。このような状況は、90年代半ばより循環的に生じているとも読み取れる。図3に、より長期のリターン、リスク、シャープ・レシオを示した。

図3 長期のリターン、リスク、シャープ・レシオ

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【図について】
計測期間は1986年1月~2015年6月。月次を年率に換算。

【出所】
IDS-QE、Datastream等より取得し、野村アセットマネジメントが作成

 

これをみると長期の平均ではバランス1は0.54、バランス2は0.46である。日本債が0.72であることから日本債の組み入れ比率が高いバランス1の方が高いシャープ・レシオを示している。いずれにせよ0.5前後であり、図1や図2でみる-2や+2という水準はこの長期平均に対して低すぎ、または高すぎるのは言うまでもない。

シャープ・レシオの上昇・低下の背景

シャープ・レシオの高低、またそれがどの程度継続するかは、その時の経済状態に依存する。図1や図2でみるように、日本債のシャープ・レシオが高く、日本株が低いのは、デフレ環境下で日本株が低迷し、一方で低金利が続いたことによる。また、市場が持続的に上昇すると、シャープ・レシオの分母であるリスク量も低下してくる。従って、値が極端にある場合はその背景が何であるかを把握することがリスク管理のポイントである。

2012年の秋以降は、アベノミクス下での金融緩和や円安で日本株が上昇した。世界的にみても金融緩和であるため、シャープ・レシオは上昇した。一方、日本株のPER(株価収益倍率)は20倍以下であり、割高という訳ではない。また、金利上昇の背景にある物価も大きく上昇する環境ではない。一方で、イベントとして、米国の利上げ、ギリシャ、中国株問題等があり、足元でそれらに左右される市場が続いている。従来以上に、投資タイミングやリスク管理に注意を払っておきたい。

 

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