鵜目鷹目45. 物色の変化をとらえる

2015年9月25日掲載

セクターの物色変化

8月中盤以降の市場は、中国株の下落、原油の下落が重なって大荒れとなった。下落の背景には、中国への期待が剥げてきている面がある。株式市場のセクターの動きをみると、エネルギー・素材セクターの相対的な下落は以前より続いているが、一方で、ヘルスケアセクターの相対的浮上も見られる。これは足元の市場の下落とは無関係に以前から続いていることである。

そこで、今回は、セクターの物色についての大きな流れについて若干の振り返りを行い、投資への示唆を探っていきたい。まず図1に、先進国セクターの相対推移を示した。

図1 先進国セクターの相対推移

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【図について】
MSCI World指数に含まれる10セクターを対Worldで相対化。1998年12月末を100としている。

【出所】
Datastreamより取得し、野村アセットマネジメントが作成

足元ではヘルスケアセクターが上昇傾向

これをみると、目立つところでは、1999から2000年にかけて情報技術セクターが上昇、その後はエネルギー、素材セクターが大きく上昇、そして足元ではヘルスケアセクターが上昇中である。

1999から2000年にかけての情報技術セクター相場では、期待が急速に膨らんだものの短期で終わり、その後長い低迷が続き、ようやく回復しつつある。2000年代前半に始まったエネルギー、素材セクターは、先進国、新興国の経済が好調で商品価格も上昇し、2008年のリーマン・ショック前まで継続的に上昇した。リーマン・ショックで一旦は下落したものの、中国の財政拡大を手掛かりに上昇するも、2010年あたりから下落傾向となっている。一方でヘルスケアセクターはエネルギー、素材セクターとは逆の相関で、2010年位から継続的に上昇傾向にある。

 

このエネルギー、素材セクター相場の変動の大きさは、先進国(図でDMと表示)および新興国(図でEMと表示)別で見た相対的上昇の度合いをみても確認できる。図2に、対MSCI World相対推移を示した。

図2 各指数の対MSCI World相対推移

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【図について】
1998年12月末を100としている。対MSCI Worldで指数化。

【出所】
Datastreamより取得し、野村アセットマネジメントが作成

 

新興国市場の上昇が目立つ中で、特に新興国のエネルギーや素材セクターが大きく上昇した。2010年以降の調整局面では、逆に大きく下落していることが読み取れる。次に、直近で上昇しているヘルスケアセクターはどうか?

図3 ヘルスケアセクターの相対推移

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【図について】
1998年12月末を100としている。DMヘルスケアとEMヘルスケアは対MSCI World指数で相対化しているが、EMヘルスケア対EMでは対MSCI-EM指数で相対化している。

【出所】
Datastreamより取得し、野村アセットマネジメントが作成

 

ヘルスケアセクターは、先進国の方は新興国や図1でみたエネルギーや素材セクターと動きが逆である。一方で新興国の方は、先進国対比でみると独立的に動いているものの、ヘルスケアセクター対新興国の動きはヘルスケアセクター対先進国の動きと相似形となっている。対先進国では見えづらいが、セクター横断的な動きが存在するとみてよい。投資家の投資先が広く先進国や新興国全般になっているからに他ならない。

人口動態

超長期でみれば、人口動態は経済の大きな決定要因になる。先進国の高齢化は既成事実であり、新興国も2020年を超えると目立つようになる。図4に示した中位年齢(人口を年齢順に並べた時、その中央で全人口を2等分する境界点にある年齢)では、中国も2020年には米国を抜き、2070年には日本とほぼ同じ水準となる。

図4 中位年齢の推移

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【出所】
国連World Population Prospects(2015年改訂版)をもとに野村アセットマネジメントが作成。

 

ヘルスケアセクターは、世界的な高齢化の中、医療支出の増大といった需要の拡大で注目されるだろう。一方で、政策的な薬価改定や個別企業の優勝劣敗もある。また景気変動との関係が薄い分だけボラティティは市場水準以下であり、市場以上に高いボラリティティのエネルギーや素材セクターとは対照的という特徴を有している。

こうしたことから、当面は商品価格の下落や新興国経済の減速を受けて、エネルギーや素材セクターの調整は続く一方でヘルスケアセクターは注目される可能性は高い。また、ヘルスケアセクターは先進国の中でのウエイトは新興国の中でのそれに比べて高く、逆にエネルギーや素材セクターは新興国の中でのウエイトが先進国の中でのウエイトに比べて高いことから、この面で見れば、先進国株有利な状況が続く可能性が強い。

 

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