鵜目鷹目43. 循環性とその背景

2015年6月12日掲載

循環性とその背景

長く続いたトレンドが崩れると元に戻ることを見かける。勿論それは、終わってみないとわからないが、その背景となる構造が見えてくると、ある程度の見通しを立てることは可能である。

卑近な例では、新興国と先進国の循環性である。図1に新興国株式と先進国株式(含む日本)の相対株価を示した。

図1 「新興国株式」対「先進国株式」

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【図について】
期間は1984年12月末から2015年4月末まで。1984年12月末を100として指数化。

【指数について】
先進国株式:MSCI-WORLD(円ベース)
新興国株式:1984年12月末から1987年12月末までがS&P/IFCエマージング株指数(円ベース)、88年1月以降はMSCI-EM(円ベース)
各指数のドルベースを元に野村アセットマネジメントが円換算。

【出所】
MSCI等のデータをDatastream等より取得し、野村アセットマネジメントが作成

新興国株式とコモディティ価格

一般的には新興国の方が成長性は高いため、右肩上がりのトレンドを持つと思うかもしれない。しかしながら、新興国株のPER(株価収益倍率)等のバリュエーションは一般的に低いのも事実だし、新興国市場が資源に依存している要素もあって、コモディティ価格の循環に左右される傾向にある。

図1にある直近の不調は、コモディティ価格が下方局面にあることの反映でもある。図2にそれを示した。

 

図2 新興国株式とコモディティのサイクル

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【図について】
期間は1984年12月末から2015年4月末まで。1984年12月末(エネルギー株式は1998年12月末)を100として指数化。

【指数について】
先進国株式:MSCI-WORLD(円ベース)
新興国株式:1984年12月末から1987年12月末までがS&P/IFCエマージング株指数(円ベース)、88年1月以降はMSCI-EM(円ベース)
エネルギー株式:MSCI World Energy(円ベース)
コモディティ:S&P/GSCI商品指数(円ベース)
各指数のドルベースを元に野村アセットマネジメントが円換算。

【出所】
MSCI等のデータをDatastream等より取得し、野村アセットマネジメントが作成

 

これをみると、新興国株式とコモディティには対先進国株式で一定の関係があるようである。しかも、コモディティの方がピークは早い傾向にある。一方、ボトムは比較的同じ時期にある。従って、コモディティの低下傾向が落ち着けば、新興国株式全体の調整も落ち着いてくる可能性は高いと思われる。なお参考で先進国のエネルギーセクターも表示したが、コモディティの場合とは異なり、新興国株式と同期して動いていることがわかる。

日経平均株価とNYダウ

次に日本株について考えてみたい。アベノミクスにより、日経平均株価は回復を続け、今年4月10日に2万円に到達した。そこで、日経平均株価とNYダウの比を取ったものを図3に示した。

図3 日経平均株価/NYダウ

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【図について】
期間は1949年5月末から2015年4月末まで。
枠内は、2009年3月末から2015年4月末まで、5倍に拡大した値の推移。

【出所】
株式会社日本経済新聞社等のデータをDatastream等より取得し、野村アセットマネジメントが作成

 

日経平均株価はNYダウに比べて、1950年代から徐々に上昇傾向であったが、1970~1990年にかけて大きく上昇し、その後大幅に下落、アベノミクスが始まって徐々に上昇傾向を示している。70~90年代をどのように考えるかの手がかりとしてPERの比較を行ってみたい。図4に示した。

図4 日本と米国のPER推移

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【図について】
期間は1960年末から2014年末まで。各期間の値は、各年末の平均値。

【出所】
(株)東京証券取引所、日本経済新聞社、MSCI、スタンダード&プアーズ ファイナンシャル サービシーズ エル エル シー等のデータを野村総合研究所Super Focus、トムソン・ロイター、ブルームバーグより取得し、野村アセットマネジメントが作成

 

日米のPERの乖離は70年代の後半から90年代後半まで続き、2000年代後半になって、ようやく解消したと言えよう。多少の行きすぎによる乖離は生じる可能性はあるとしても、よりグローバル運用が進んだ中で、今後日本のみ突出したPERは考えにくい。その意味でこれは正常化したと言える。

なお、絶対水準で米国も90年代から2000年代後半までは20倍を超え、2010年代になり20倍を割っている。この意味で、この数年バリュエーションの調整をしていたと考えることが出来るだろう。

以上を踏まえると、今後、日経平均がNYダウに比べて持続的に上昇していくには、日本企業の利益が米国に比べて伸びていくことが必要だろう。

ファンダメンタルズの循環性とバリュエーションの変化

株価の循環性の背景にはファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)の循環性がある。それにバリュエーションの変化が加わる。バリュエーションの変化はその時のファンダメンタルに対する過大な期待も含まれるが、達成できなければ結局のところ、過去からみた平均的な水準に戻るとみておいた方がよい。

一つ一つ当てるのは難しいとしても、取り返しのつかない失敗をしないために、その基本原理を資産、地域、業種の配分等の検討の際に利用していくことは大事である。

 

 

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